「保育士の給料は低い」とよく言われますが、実際のところはどうなのでしょうか。この記事では、厚生労働省の調査データをもとに、保育士の平均給料と年収アップの方法を解説します。
保育士の平均給料(全国データ)
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均賃金は以下のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月収(所定内給与) | 約24〜26万円 |
| 年収(賞与含む) | 約350〜380万円 |
全職種の平均年収(約480万円)と比べると、保育士の給与は依然として低い水準にあります。ただし、近年は処遇改善加算(国の補助制度)の拡充により、給与は緩やかに上昇傾向にあります。
年齢別の保育士平均給料
| 年齢 | 月収目安 | 年収目安 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 約20〜22万円 | 約280〜300万円 |
| 25〜29歳 | 約22〜24万円 | 約310〜330万円 |
| 30〜34歳 | 約24〜26万円 | 約340〜360万円 |
| 35〜39歳 | 約25〜27万円 | 約360〜380万円 |
| 40〜44歳 | 約26〜28万円 | 約370〜400万円 |
経験年数・職位・施設タイプによって給与は大きく変わります。
施設タイプ別の給与差
保育士が働く施設によって、給与水準は異なります。
| 施設タイプ | 月収目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 公立保育所 | 約28〜35万円 | 公務員待遇。給与高め・安定 |
| 認可保育園(私立) | 約22〜26万円 | 処遇改善加算あり |
| 認定こども園 | 約22〜26万円 | 認可保育園と近い水準 |
| 小規模保育 | 約20〜24万円 | 施設によって差が大きい |
| 院内保育・企業内保育 | 約22〜27万円 | 夜勤なしで月収が安定しやすい |
| 学童保育 | 約18〜22万円 | 非正規が多い |
公立保育所は公務員待遇で給与が高い一方、採用倍率が高く入職が難しい点があります。
保育士の給料が低い理由
公定価格制度による制限
認可保育園の運営費は国・自治体が定める「公定価格」によって決まるため、保育士の給与を自由に設定することが難しい構造になっています。
非正規雇用の割合が高い
保育士の中には、パート・派遣・有期雇用の非正規雇用で働く方が多く、平均を押し下げる要因になっています。
労働の専門性が給与に反映されにくい
子育てに関わる専門職でありながら、その重要性が給与に反映されにくい社会的課題が続いています。近年は国の処遇改善政策が進んでいますが、まだ十分ではありません。
保育士が年収アップを実現する方法
方法1:転職で給与の高い施設に移る
現在の施設にとどまるより、転職によって年収を上げるのが最も効果的な方法です。特に以下のケースで年収アップが期待できます。
- 私立保育園 → 公立保育所(公務員試験に合格した場合)
- 給与水準の低い施設 → 処遇改善加算を積極的に活用している施設
- 院内保育・企業内保育など福利厚生が手厚い施設
方法2:キャリアアップで役職手当を得る
主任保育士・副主任・専門リーダーなどのポジションに就くことで、役職手当が付きます。国の「キャリアアップ研修」を受講することで、処遇改善加算の対象となり月数万円の加算が期待できます。
方法3:公立保育所を目指す
自治体の保育士採用試験に合格すれば、公務員として安定した給与・待遇で働けます。筆記試験・面接対策が必要ですが、長期的に安定した収入を求める方には有力な選択肢です。
方法4:パートから正規雇用へ切り替える
非正規雇用の保育士が正規雇用に切り替えることで、年収が大幅に上がるケースがあります。転職サービスに相談すると、正規雇用の求人を中心に紹介してもらえます。
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よくある質問
Q: 保育士の給料はこれから上がりますか?
A: 国の処遇改善政策が継続しており、緩やかな上昇傾向にあります。ただし、大幅な改善には時間がかかる見通しです。給与アップを急ぐ場合は転職が最も効果的な手段です。
Q: 転職せずに給料を上げる方法はありますか?
A: キャリアアップ研修の受講・役職への就任・正規雇用への切り替えが有効です。現在の職場に処遇改善加算が適用されているかどうかも確認しましょう。
Q: 経験年数が上がれば給料は自動的に上がりますか?
A: 施設によります。昇給制度がある施設では経験年数に応じて給与が上がりますが、昇給がほぼない施設もあります。転職時に昇給制度を確認しておくことが重要です。
まとめ
保育士の平均年収は約350〜380万円で、全職種平均より低い水準です。年収アップを実現する最も効果的な方法は転職です。
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保育士の給料が低い理由:詳しく解説
保育士の給料が低い背景には、複合的な要因があります。単に「保育業界が冷遇されている」というわけではなく、制度的な仕組みが影響しています。
公定価格制度による上限
認可保育園の運営は国が定める「公定価格」によって管理されており、施設が受け取れる保育料の上限が決まっています。そのため、いくら園児数が増えても施設が自由に収益を増やせる構造ではなく、必然的に人件費への還元にも限界が生まれます。
社会的評価と賃金のギャップ
保育士は「子どもの命と発達を預かるプロ」であるにもかかわらず、その専門性が賃金に十分反映されてこなかった歴史があります。厚生労働省の調査によると、保育士の平均年収は全職種平均を100万円以上下回る水準が続いていました。
処遇改善加算の課題:施設によって差がある
国は「処遇改善等加算」という補助制度を設けており、保育士の給与引き上げを支援しています。しかし、加算が実際に職員の給与に反映されているかどうかは施設によって大きく異なります。転職前に「処遇改善加算をどのように活用しているか」を確認することが重要です。
非正規率の高さ
保育士の中にはパートや派遣として働く方も多く、非正規雇用の割合が高いことが全体の平均年収を押し下げる要因にもなっています。正規職員として採用されることが年収アップへの第一歩です。
年収アップの具体的な方法
給与水準の高い施設へ転職する
同じ保育士資格でも、施設によって年収は50〜100万円以上異なることがあります。公立保育所・処遇改善加算を積極活用している法人・院内保育への転職は、年収アップの確実な方法です。転職活動では求人票の「月給」だけでなく、賞与・各種手当・処遇改善加算の有無を必ず確認しましょう。
役職・キャリアアップを目指す
主任保育士・副園長・園長などの役職に就くことで、役職手当が加算され年収が大きく上昇します。厚生労働省のキャリアアップ研修(リーダー研修)を受講することで、専門リーダーや副主任保育士として月額5,000〜40,000円程度の加算対象となる施設もあります。
| 役職 | 月収目安(加算込み) |
|---|---|
| 一般保育士(経験1〜2年) | 約20〜23万円 |
| 一般保育士(経験5年以上) | 約23〜27万円 |
| 専門リーダー・副主任 | 約27〜32万円 |
| 主任保育士 | 約30〜35万円 |
| 園長 | 約35〜45万円 |
※施設・地域・法人によって異なります
公立保育所(公務員)を目指す
公立保育所の保育士は地方公務員として採用されるため、給与・賞与・退職金いずれも民間より高水準です。自治体の採用試験に合格する必要がありますが、長期的に安定した収入を求める方には有力な選択肢です。一般的に、公立保育士の年収は民間より年間50〜100万円程度高い傾向があります。
キャリアアップ研修を受講する
国が推進する「保育士等キャリアアップ研修」を受講し、特定分野(乳児保育・障害児保育・食育など)の専門性を高めることで、処遇改善加算の対象となり給与アップにつながります。研修は都道府県が実施しており、無料または低コストで受けられる場合がほとんどです。
シナリオ別:保育士の年収モデル
シナリオ:新卒で私立認可保育園に就職したCさん(22歳)
月収20万円・賞与2ヶ月分で入職したCさん。最初の年収は約280万円でした。3年目に副主任クラスの研修を修了し、月5,000円の加算が付き、5年目には主任に昇格して年収が370万円まで上昇。「処遇改善加算をしっかり還元してくれる園を選んだことが大きかった」と振り返ります。
シナリオ:転職で年収を大幅アップさせたDさん(30歳)
Dさんは私立保育園で8年間勤め、年収320万円でした。転職活動で保育士専門のエージェントに相談したところ、院内保育施設の求人を紹介され、年収390万円・残業ほぼゼロの職場に転職できました。「求人票だけではわからない給与の内訳を、エージェントに確認してもらえたのが決め手でした」と話しています。
よくある質問(FAQ)
- Q. 保育士の平均年収はいくらですか?
- A. 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収(賞与含む)は約350〜380万円程度です。全職種平均(約480万円)と比べると低い水準ですが、近年は処遇改善加算の拡充により緩やかに上昇傾向にあります。
- Q. 保育士の給料は上がっていますか?
- A. はい、国の処遇改善政策により2013年以降は緩やかな上昇傾向が続いています。ただし、加算が実際に給与に反映されているかどうかは施設によって差があるため、転職時には各施設の給与体系を確認することが重要です。
- Q. 公立保育士と私立保育士では給料はどれだけ違いますか?
- A. 一般的に、公立保育士(地方公務員)の方が私立保育士より年収が50〜100万円程度高い傾向があります。退職金・共済年金なども含めると、生涯賃金では大きな差が生まれることがあります。
- Q. 保育士の賞与(ボーナス)はどのくらいですか?
- A. 施設によって差がありますが、私立認可保育園では年2回・合計1〜2ヶ月分が一般的です。公立保育所(地方公務員)は自治体の規定によりますが、年3〜4ヶ月分程度のケースが多いです。賞与がない施設や、代わりに月給に上乗せしている施設もあります。
- Q. 経験を積めば保育士の給料は上がりますか?
- A. 経験年数が増えるほど給与は上昇する傾向にありますが、施設・法人によって昇給幅は大きく異なります。同じ職場に長くいるより、積極的に転職して給与条件を交渉する方が早く年収を上げられるケースも多いです。
- Q. 保育士の給料を手っ取り早く上げるにはどうすればいいですか?
- A. 最も効果的な方法は「給与水準の高い施設への転職」です。公立保育所・処遇改善加算を積極活用している法人・院内保育は給与が高い傾向があります。転職エージェントを活用することで、求人票だけではわからない給与の詳細を事前に確認できます。
- Q. 保育士として独立・開業することはできますか?
- A. 一定の要件を満たせば、小規模保育施設や認可外保育施設を開設することが可能です。ただし、初期費用・運営費・人員配置基準など、クリアすべき条件が多くあります。個人開業よりも、まず運営法人の管理職として経験を積む方が現実的なケースが多いです。
- Q. 保育士の給料の手取りはいくらですか?
- A. 月収24万円の場合、社会保険料・税金を差し引いた手取りは一般的に約19〜20万円程度です。扶養家族の有無・各種控除によって変わります。住宅手当や食事補助などの福利厚生が充実している施設では、実質的な待遇が改善されることもあります。
