「病院勤務の夜勤や残業が体力的につらい」「患者さんと長く関わる仕事がしたい」——そんな思いを抱えている看護師の方は少なくありません。
訪問看護の現場は、今まさに深刻な人手不足の状態にあります。有効求人倍率は3.78倍と、全業態の中でも最高水準です。つまり、あなたが転職を希望すれば、複数の職場から選べる売り手市場で動けるということです。
この記事では、訪問看護師への転職を真剣に考えている現役看護師の方に向けて、仕事内容から年収相場、選ぶべき転職サービスまで、必要な情報をすべて網羅しました。
訪問看護師とは
仕事内容
訪問看護師とは、利用者の自宅や施設に出向いて医療ケアや療養支援を行う看護師のことです。病院勤務と大きく異なるのは、「1対1のケア」が中心になる点です。
主な業務内容は以下のとおりです。
- バイタルサイン測定・健康状態の観察
- 点滴・注射・採血などの医療処置
- 褥瘡(床ずれ)の処置と予防
- 服薬管理・指導
- 排泄・入浴・食事介助
- 医療機器(人工呼吸器・胃ろうなど)の管理
- 認知症ケア
- ターミナルケア(看取り)
- 家族への介護指導・相談対応
訪問先は高齢者に限りません。小児・精神・難病など多様な対象者がいます。また主治医の指示書に基づいて動くため、医師との連携が病院以上に重要になります。
1日の流れ(例)
訪問看護師の1日は、病院のように固定のシフトではなく、訪問スケジュールを軸に動きます。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 8:30 | 出勤・朝礼・ケア記録確認・訪問準備 |
| 9:00〜12:00 | 午前の訪問(2〜3件) |
| 12:00〜13:00 | 休憩・昼食 |
| 13:00〜17:00 | 午後の訪問(2〜3件) |
| 17:00〜18:00 | ステーション帰還・記録入力・翌日準備 |
1日の訪問件数は平均4〜6件です。移動は自転車や原付、自動車を使います(免許・交通費は多くの職場で支給)。
訪問看護への転職のメリット・デメリット
転職を決める前に、メリットとデメリットの両面をしっかり把握しておきましょう。
メリット
夜勤がない(もしくは大幅に減る)
多くの訪問看護ステーションは日勤のみです。緊急対応のオンコールはありますが、病院の夜勤のように毎月複数回出勤する必要はありません。身体への負担が減り、生活リズムが安定します。
患者さんとの関係が深まる
病院では短期間で退院・転院が繰り返されますが、訪問看護では同じ利用者に継続して関わります。経過を見守りながら信頼関係を築ける点は、多くの訪問看護師がやりがいとして挙げる要素です。
看護師としての自律性が高まる
訪問先では基本的に1人で判断・対応します。医師や同僚がすぐそばにいない環境で、より高い専門性とアセスメント力が求められます。「看護師としての力を本当に試したい」という方に向いています。
ワークライフバランスが取りやすい
土日休みが多く、年間休日が120日以上の職場も珍しくありません。育児中の看護師がパート・時短勤務で復帰するケースも多いです。
デメリット
精神的なプレッシャーがある
1人で訪問するため、何かあったときの判断はすべて自分に委ねられます。判断を誤ると利用者の命に直結するプレッシャーは、病院以上に大きいと感じる方もいます。
移動が多く体力を消耗する
自転車や原付で雨の日も風の日も移動が必要です。特に都市部以外では移動距離が長くなります。
緊急対応(オンコール)がある
夜間・休日のオンコール当番があり、連絡が入れば出動しなければなりません。回数は職場によって異なりますが、月に数回のオンコール対応が必要な場合があります。
経験が少ないと不安を感じやすい
病院での経験が浅いまま訪問看護に転職すると、医師や多職種に相談しにくい環境で困ることがあります。一般的に経験年数3年以上が推奨されています。
訪問看護師に向いている人・向いていない人
向いている人
- 夜勤を減らしてライフスタイルを整えたい人
- 患者・利用者と長期的に関わりたい人
- 自律的に動くのが好きな人
- 地域包括ケアや在宅医療に興味がある人
- 子育て中でワークライフバランスを重視したい人
- 看護師として幅広いスキルを磨きたい人
向いていない人
- 急性期・ICUなど高度急性期処置が好きな人(訪問看護では経験が少ない)
- 孤独な作業が苦手で常にチームと一緒にいたい人
- 1人での判断・責任を避けたい人
- 病院勤務の経験が1〜2年未満の人(慣れるまで時間がかかる)
訪問看護師の年収・給与相場
訪問看護師の年収は、勤務形態・地域・経験年数によって差があります。以下は2026年時点のおおよその目安です。
| 勤務形態 | 月収(目安) | 年収(目安) |
|---|---|---|
| 常勤(正職員) | 32〜42万円 | 400〜550万円 |
| パート・非常勤 | 1,800〜2,500円/時 | 200〜350万円(週3〜4日) |
| 管理職(所長など) | 40〜55万円 | 500〜700万円 |
病院勤務と比較すると、夜勤手当がない分、月収は若干下がるケースもあります。ただし年間休日の多さや残業の少なさを考慮すると、「時給換算では訪問看護のほうが高い」と感じる看護師も多いです。
また訪問看護師は人材不足のため、交渉次第で病院より高い条件を引き出せる職場も増えています。転職エージェントを利用すれば、こうした条件交渉も代行してもらえます。
訪問看護師の転職おすすめサービス
転職サービス選びは転職の成否を左右します。訪問看護に強い求人を持ち、条件交渉まで対応してくれるサービスを選ぶことが重要です。
スーパーナース
スーパーナースは、看護師に特化した転職・派遣サービスです。全国25,000件以上の求人を保有し、訪問看護ステーションや在宅医療関連の求人も多数取り扱っています。長期派遣から正社員転職まで幅広く対応しており、年間20万件以上のマッチング実績を誇ります。
担当コーディネーターが求人紹介から面接調整、入職後のフォローまで一貫してサポートしてくれます。訪問看護の職場内部情報にも詳しく、自分では調べにくい職場環境の詳細を事前に確認できます。
医療キャリアナビ
医療キャリアナビは、医療職の転職に特化したエージェントサービスです。病院・クリニック・訪問看護ステーションなど幅広い医療系求人を取り扱っており、看護師以外にも医師・薬剤師・リハビリ職など多職種の転職に対応しています。
担当アドバイザーは医療業界の知識が深く、訪問看護ステーションの規模感・体制・雰囲気まで踏み込んだアドバイスが得られます。
MCナースネット
MCナースネットは、MCメディカル株式会社が運営する看護師専門の転職支援サービスです。全国の求人を幅広くカバーしており、訪問看護・在宅医療分野の求人も充実しています。
転職活動が初めての方でも安心して使えるよう、キャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングを行い、希望条件に合った求人を厳選して紹介してくれます。
ナースパワー
ナースパワーは、1995年創業の老舗看護師専門転職サービスです。長年の実績から全国各地に幅広いネットワークを持ち、訪問看護ステーションの求人も多数保有しています。
特に地方・郊外エリアでの求人が強く、「地元で訪問看護の仕事を探したい」という方に向いています。
ナースではたらこ
ナースではたらこは、ディップ株式会社が運営する看護師専門の求人サービスです。求人サイト形式で手軽に自分で検索でき、転職エージェントへの登録に抵抗を感じる方にも使いやすいサービスです。
訪問看護の求人も掲載されており、条件・エリアを絞り込んで自分のペースで探せます。
訪問看護師の転職サービスの選び方
数多くある転職サービスの中から、自分に合ったものを選ぶポイントを解説します。
訪問看護・在宅医療の求人数が多いか確認する
転職エージェントによって、得意な領域が異なります。病院・クリニック求人が中心のサービスより、訪問看護ステーション・在宅医療専門の求人が充実しているサービスを選ぶと、良い条件の求人と出会いやすくなります。
登録前に「訪問看護の求人数」を公式サイトで確認しておきましょう。
担当者が訪問看護の実情を理解しているか
アドバイザーによっては病院求人ばかり扱っており、訪問看護ステーションの内部事情に疎いケースがあります。
面談時に「訪問看護ステーションの特徴や職場の雰囲気を具体的に教えてもらえますか?」と質問してみてください。具体的な答えが返ってこない場合は、別のサービスを検討するのが賢明です。
オンコール・残業の実態情報を提供してくれるか
公式の求人票には載っていないオンコールの頻度・回数・残業の実態は、入職後のミスマッチを防ぐために必ず事前確認したい情報です。
エージェントを通じて職場の内部情報を引き出せるかどうかは、転職成功の大きな分かれ目になります。
複数サービスに同時登録して比較する
1つのエージェントだけで転職活動を進めると、選択肢が狭まります。2〜3社に同時登録して求人の幅を広げ、紹介内容・担当者の質・対応スピードを比較しながら進めることをおすすめします。
訪問看護師の転職成功のポイント
経験年数3年以上で転職するのが理想
訪問看護では、医師・理学療法士・ケアマネジャーなど多職種と連携しながら、自律的に判断して動く力が求められます。病院での基礎的なアセスメント力・処置スキルが身についている状態——目安として3年以上の実務経験——があると、現場への適応がスムーズになります。
新卒・経験浅い段階での転職が絶対NG というわけではありませんが、研修体制が充実しているステーションを選ぶことが重要です。
職場の研修・フォロー体制を必ず確認する
「いきなり1人で訪問させられる」という職場は避けてください。良い訪問看護ステーションは、入職後に先輩看護師が同行する「同行期間」を設けています。
面談や見学の際に、以下を必ず確認しましょう。
- 同行訪問は何件・何週間あるか
- 困ったときに相談できる体制はあるか
- 定期的なカンファレンスや勉強会はあるか
職場見学を必ず行う
訪問看護ステーションは規模・雰囲気・運営方針が職場によって大きく異なります。求人票の情報だけで判断せず、実際に職場を見学してスタッフの雰囲気を確認しましょう。
転職エージェントを利用していれば、見学の手配も代行してもらえます。
オンコールの条件を納得した上で入職する
多くの訪問看護ステーションにはオンコール(緊急時の電話・訪問対応)があります。月何回あるか、深夜の出動頻度はどのくらいか、オンコール手当の金額はいくらか——これらを入職前に必ず確認し、自分の生活スタイルと合っているかを見極めてください。
転職の軸を明確にしてから動く
「夜勤をなくしたい」「子育てと両立できる職場に移りたい」「在宅看護のスキルを積みたい」など、転職の優先順位を自分の中で整理してから動くと、求人選びがスムーズになります。
軸が曖昧なまま転職すると、結果的に「思っていたのと違う」という再転職につながりやすいです。
まとめ
訪問看護師への転職は、夜勤からの解放・患者との深い関わり・自律的な働き方を求める看護師にとって、非常に魅力的な選択肢です。有効求人倍率3.78倍という圧倒的な人材不足の中、条件・職場を選べる立場で転職活動ができます。
一方で、1人で判断する責任の重さやオンコール対応など、事前に理解しておくべき点もあります。転職サービスを上手に活用して内部情報を収集し、自分に合った職場を見つけてください。
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